映画『トゥルーマン・ショー』情報
1998年アメリカ映画 原題 The Truman Show 103分
監督 ピーター・ウィアー
ジム・キャリー・・・トゥルーマン・ハーバンク/テレビ番組「トゥルーマン・ショー」の主人公。シーヘブンという島に住んでいると思っている。セットの中で24時間撮影された生活を全世界に放送されているが、本人は知らない。
エド・ハリス・・・クリストフ/テレビ番組「トゥルーマン・ショー」のクリエイター。スタッフやキャストに指示を出している番組司令塔
ローラ・リニー・・・メリル・ハーバンク/番組でトゥルーマンの妻を演じている
ノア・エメリッヒ・・・マーロン/番組でトゥルーマンの親友役を演じている
ホランド・テイラー・・・アンジェラ・ハーバンク/番組でトゥルーマンの母親を演じている
映画『トゥルーマン・ショー』ネタバレあり感想
①自由
安定した生活。
私のような人間からすればのどから手が出るほど欲しいものですが、いざ安定した生活が続くと、人は危険を冒してでも未知の世界に飛び出して行きたくなるものなのか?
「約束された未来」=「幸せの切符」ではないのか?
人間にとっての幸せとは何なのか?を考えさせられました。
②愛情の欠如
トゥルーマンは作られた世界の中で、一人だけリアルに生きているのですが、彼が一番かわいそうなのは、周りに、彼への愛情がある人間が一人もいないことです。みんな、普段はニコニコしてるけど、陰では『あいつ』、とか呼んでいて、もっと言うと物扱いされているというか。
特にトゥルーマンの奥さん「メリル」は、本当にトゥルーマンを嫌っています。
逆に、どこがそんなに嫌いなんですか?と聞きたくなるくらい。仮の夫婦、演技とはいえ、三十何年も一緒にいたら、情というか、それなりに彼への想いも出てくるんではないか?と思うのですが。
芝居とかやってると、恋人役の人は本気で好きになっちゃう、とかよくあります。
(そして終わったら別れる。もちろんそのまま結婚する方もいますが)
これは、よっぽど二人が性格的に、または生理的に合わないのか、映画の中で描かれてないだけで、トゥルーマンは、本当は普通にうざいやつなのか。
奥さんだけではなく、トゥルーマンの母親「アンジェラ」も。本当の母親じゃなくても、三十何年も母親役やってたらかわいくみえてくるもんではないのか・・・。
とにかく気になるのがトゥルーマンの周りに配置されている役者さんたちの情のなさ。
その分浮き彫りになる、仕事もお金もすべて満たされてるのに、愛情だけないというトゥルーマンの孤独感。
つまり、うっかり情がわいちゃうような役者は省かれた、ということなのでしょうか?
③感情豊かな人間はタブーなのか?
実際には世界中の人たちに生活をさらされながら、仮想の世界で何も知らずに生きているトゥルーマン。
そんなこの世界でタブーなのは、トゥルーマンに感情移入してしまう情に厚い人なのかもしれないと思いました。彼のエンタメとして人々にさらされ続ける境遇に同情して、トゥルーマンがこの世界から抜け出せるように手助けする人間が現れたら、この作品世界は破綻してしまうからです。
④クリストフが作り出した世界
このトゥルーマンショーを作ったのは番組プロデューサーのクリストフ(エドハリス)です。
もちろん、ヒットする番組を作りたかった、というのはあると思いますが、作品というのは子供みたいなもので、もっと言うと、自分の思想や思いが投影されているものだと思います。
クリストフはこの作品を通して、何を表現したかったのか。
このトゥルーマンを駒としか見ていない人々の中で、一番駒として扱っていたのも、それでいて、情をもっていたのも、クリストフだと感じました。
特に、最後の海のシーンは、もしこの守られた世界を出ていくのなら、たとえ死の危険を冒してでも進め!みたいな、ある意味自分の子供を成長させるために最強のライバルを作る星一徹ばりな、『親心』みたいなものを感じました。
それにしてもこの世界を成立させることは難しいですね。
トゥルーマンがこの世界の違和感に気が付かなかったら、彼は幸せだったのか?
まさにリンゴをたべなければ人間は幸せだったのか?という疑問につながるような・・・。
クリストフはこの後も第二、第三のトゥルーマンを生み出すべく、挑戦し続ける、みたいな感じで終わりました。
クリストフが本当に見たい世界って何なんでしょうか?
色々考えさせられて面白かったです!