映画『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』情報

2017年アメリカ映画 110分 原題 The Meyerowitz Stories(New and Selected)
監督 ノア・バームバック

アダム・サンドラー・・・ダニー・マイヤーウィッツ /マイヤーウィッツ家長男。音楽の仕事をしていたが挫折し、離婚して職もないので、ハロルドと同居する。
ベン・スティラー・・・マシュー・マイヤーウィッツ /マイヤーウィッツ家次男。ダニーとジーンとは異母兄弟。実業家として活躍中
ダスティン・ホフマン・・・ハロルド・マイヤーウィッツ / 父親。落ち目の彫刻家。元大学教授。自己中心的な性格。4回結婚している
エリザベス・マーヴェル・・・ジーン・マイヤーウィッツ /マイヤーウィッツ家の長女。独身。真面目
エマ・トンプソン・・・モリーン/現在のハロルドの妻。アル中

映画『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』ネタバレあり感想

①私はこの映画はおすすめです!

 以前ご紹介した同じノア・バームバック監督の『イカとクジラ』という映画が思いのほかしんどくて、
「ノア・バームバック監督、注目されてるけどあんまり作品は見れないわー」
と思っていたら、いや思っていたからこそ、逆に見てしまいました。
我ながらなんという天邪鬼な性格・・・。
でも大正解!私はこの映画好きでした!!!
もっと言うと、『イカとクジラ』ショックがこの作品で昇華されたといってもいいほどでした。

②映画『イカとクジラ』と対比するとより面白い

映画『イカとクジラ』の父さん、ジェフ・ブリッジスが年をとったらこうなるであろうお父さんを
ダスティンホフマンが演じていました。(ジェフ・ブリッジスは作家、ダスティン・ホフマンは彫刻家ですが)
芸術家で自己中心的で、子供たちを振りまわすお父さん(汗)。
実際、
「自分の父親だったら最悪だな、トラウマになるわー」
というようなお父さんなのは相変わらずなのですが(汗)、それでも面白い。ほんとーに自己中で、子供のことより自分のことしか考えていないプライドの塊の父なのですが、父ダスティンホフマンがおじいちゃんだからか?かわいいのです。

『イカとクジラ』のジェフブリッジス父さんは男盛り?というか、体力もあり、威圧感もあり、それで自己中で、10代の子供たちの前で怒鳴ったり物を破壊したりして、
「DVやろーだわ(怒)」
という嫌悪感が強かったのです。
でも同じことでもおじいちゃんがやると、もちろんよくないですが、何となく滑稽。
また『イカとクジラ』で10代だった子供たちが『マイヤーウィッツ家の人々』では大人になって(というか中年)、肉体的パワーバランスが変わったせいか(多分、本気出したら子供たちが父親を倒せる(笑))、ある意味安心して見れました。

そして兄弟を演じるアダムサンドラーとベンスティラーが、もちろん真剣に演じてるんですがなんとなくコミカルな雰囲気を持っているせいか、お父さんに振り回されてかわいそうなんだけど、どことなく笑いを誘うので、キャスティングも大正解だったな、と思いました。
お姉さん役の方は、私は初めて観たのですが、兄弟に比べたらそんなに出番もないのですが、もしくは出てきてもほとんどしゃべらずじっとしてるので、独特な感じでした。
そんなお姉さんが一回だけ全速力で走るシーンがあるのですが、それまで静だったお姉さんが急に(急激に?)動になったのがそれまでのギャップで大爆笑してしまいました。

何よりもうれしかったのは、自分のことしか考えない芸術家の自己中の父親に振り回されて、傷つけられて育った兄弟たちが、そんな親でもほっとけない、優しい人間に育っているというのが、作品に暖かさを与えてくれるていると感じました。
また、離婚して無職になっちゃった長男ダニー(アダム・サンドラー)の娘も優しくていい子なんです(涙)。

映画『イカとクジラ』ショックが、この作品を観てやっと自分の中で救われた、みたいな気持ちになりました。

③台本が素晴らしい

登場人物がみんな変な人達で、変にナチュラルすぎないのも良かったなと思いました。
なにより、台本がめちゃくちゃ素晴らしいと思いました。大変なことは色々あるけど、大きな目で見たら所詮人間なんて滑稽なんだから悩むなよと言われてるようで、人間愛を感じました。

おススメのシーンはダスティンホフマンとベンスティラーがレストランで食事をするシーンです。息子と話してるとき、父ハロルド、全然話聞いてない(笑)。
話していることと考えていることが全然違う。かみ合ってるようでかみ合ってない、ちょっと笑っちゃうような絶妙なバランスの会話。
名優に対して失礼ですが、ダスティンホフマンってやっぱりすごいんだな、と思いました。もちろんベンスティラーもですが。

『イカとクジラ』の時は、子供に対してキレる父親が威圧的で嫌悪感がありましたが、ダスティンホフマンがビリヤードに負けて急に棒を叩きつけて折ったときは笑えました。
子供たちが楽しく父とのビリヤードを楽しもうとしているのに対して、子供に勝つことしか考えていない父親。
「おいおいおい、たかがゲームだぜ?もう大人(というかおじいさん(汗))だろ?」
と突っ込みたくなりました。また子供たちがそれにうんざりしてる様が笑えました。

それにしても、『イカとクジラ』はバームバック監督の自伝的お話だそうで・・・。
とすると、バームバック監督のお父さんってこんなパンチのある人なんだろうか?と余計なことを考えてしまいました。

結構覚悟してみたのですが、とても面白かったです。

投稿者

ヤスティ

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