映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』情報
2011年 イギリス映画 105分 原題 The Iron Lady
監督 フィリダ・ロイド
- マーガレット・サッチャー・・・メリル・ストリープ
- デニス・サッチャー・・・ジム・ブロードベント
- キャロル・サッチャー・・・オリヴィア・コールマン
「鉄の女」の異名を持つイギリス第71代首相、マーガレット・サッチャーの伝記映画
この作品でサッチャーを演じたメリルストリープは第84回アカデミー賞で主演女優賞を受賞
映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』ねたばれあり感想
①メリル・ストリープが凄い
メリルストリープが凄かったです。政界から引退して、アルツハイマーになった老女、サッチャー首相の回想、という形で物語が始まるんですが、「あれ?メリルストリープじゃないの?老年期は別の女優さんが演じているのかな?」と思ったほどでした。
日本でも、例えば朝の連続ドラマ小説などは、少女時代から老年期まで一人の役者さんが演じることはよくありますが、正直、白髪の感じとか、肌の感じとか、動き方とか、無理してる感があってやっぱり映像では年相応にはならないよなあ、という違和感を持つことはありますが、この映画のメリルストリープは全然違和感がありませんでした。
サッチャー首相の若いころの初期の甲高いしゃべり方、発声を学んでからの説得力のある演説、アルツハイマーを発症してからの筋力の衰えた感じの動き、話し方と、一人の役者がここまで変化していくのを自然に演じていて、これが世界の一流のレベルなんだな、と圧倒されました。
ちなみに、メリルストリープはこの「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」でアカデミー賞主演女優賞を受賞されましたが全部でアカデミー賞を3回受賞されています。
『クレイマー、クレイマー』(1979年) 助演女優賞
『ソフィーの選択』(1982年) 主演女優賞
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 主演女優賞
さらに恐ろしいのは、アカデミー賞候補になった回数はなんと21回とか!
こんなに長い間第一線で活躍してるというのはすごいですね。
マーガレット・サッチャーの娘キャロルを演じてらっしゃるのはオリヴィア・コールマン。
ネットフリックスのドラマシリーズ『ザ・クラウン』でエリザベス女王を演じてらっしゃいますが、それにしても、特にイギリスっていうのはさすが演劇の国というか、すごい女優さん(役者さん)が沢山いらっしゃいますね。
②伝記映画
内容は、サッチャー首相の伝記映画なのですが、もちろんものの見方は色んなものがあると思うので、この映画で描かれているサッチャー首相が、そのまんまサッチャー首相だとは思わないですが、それにしても政治家って大変なんだなあと思いました。特に首相、国のトップになる人というのは、精神を追い込んで、ギリギリのところで生きているんですね。心休まるときのない、まさにとがったナイフ状態。
実際、普段政治家の方たちに文句ばっかり言っちゃいますけど、現代の政治家の方たちも、私たちの見えないところで精神追いつめて国政にのぞんでいらっしゃるのでしょうか?
だからと言って文句言うのはやめられませんけど。。。
(だって不満だらけなんですもの!)
話を戻すと、政治は結局結果論みたいなところがあるので、その政策が成功すれば優秀な政治家、失敗すれば無能な政治家と判断されてしまうのですね。そして失敗が続くと失脚するしかないので、常に綱渡り状態で神経をすり減らしてるのですね。
サッチャー首相の政治的方針が、いいと思うか、悪いと思うかは別にして、物を進めるには確かに断固とした意志は必要だと思いました。
と言えども・・・・女性のリーダーで戦争を強行するって珍しいですよね。(そんなことないのかな?)
でも内政がごちゃごちゃしてるときに戦争が起こって、一定の勝利を得ると評価されちゃうのよねえ・・・・。だから戦争がなくならないのかしら?
個人的に何があっても戦争反対派なのでちょっと悲しくなりました。
それにしても、この作品が作られたのが2011年で、サッチャー首相が亡くなられたのが2013年。まだご本人が健在の時に世界に公開する映画で、「この人はアルツハイマーです」って表現するのって、日本ではなかなかないので、攻めた作品だなあと思いました。
(やはり、イギリスでもそれについては批判もあったようです)