映画『ジャージー・ボーイズ』情報
2014年 アメリカ映画 134分 原題 Jersey Boys
監督/クリント・イーストウッド
ジョン・ロイド・ヤング・・・フランキー・ヴァリ/冬のナレーション。ボーカル。印象的な歌声の持ち主
ヴィンセント・ピアッツァ…トミー・デヴィート/春のナレーションギター。バンドのリーダー的存在で、トラブルメーカー
エリック・バーゲン・・・ボブ・ゴーディオ/夏のナレーション。キーボード。作曲の才能があり数々のヒット曲を手掛ける
マイケル・ロメンダ・・・ニック・マッシ/秋のナレーション。ベース。控えめな性格
映画『ジャージー・ボーイズ』ネタバレあり感想
引き続きクリント・イーストウッド監督作品を観ました。
ブロードウェイミュージカルを映画化した作品ということで、今までみたイーストウッド作品とはちょっと違った感じでした。
なんと言っても、主人公のフランキー・ヴァリが孤高の人ではないからではないでしょうか?!
でもやはりクリントイーストウッド映画、何となく格式ある感は健在でした。
①ミュージカル映画?
フォーシーズンズという実在したバンドのお話なのだそうです。
ファーシーズンズと言われても私は知らなかったので全然ピンときませんでしたが、曲を聴けばわかりました。
「君の瞳に恋してる(can’t take my eyes off you)」なんて、昔からあちこちで流れてる誰もが耳にしたことある名曲ですが、1967年にフランキーヴァリが出した曲だったんですね。
勝手にBOYS TOWN GANGの曲だと思ってました。
ミュージカルというと、感情の高まるところで突然歌ったり踊ったりする、というイメージがありますが、この作品はそういう感じではありませんでした。
どちらかというと
バンド結成からロックの殿堂入りするまでのフォーシーズンズの歴史を、ヒット曲に乗せてお届けする作品
という感じでしょうか?
なので、ミュージカル映画なんですが、歌も踊りもそんなにあるという印象ではなく、(特に踊り)
【芝居の中で歌うシーンもある作品】という印象を持ちました。
ミュージカルって舞台で見ると違和感ないのに映像にするとどうも変な感じがするなあ、ってことが私は結構あるのですが、そういう意味ではこの映画は映像作品として違和感なく見れました。
その分逆にミュージカルにある高揚感?(歌いきりました!踊り切りました!というこれぞミュージカル!という感じ)はなかったような感じもしましたが・・・。
舞台の方はどんな感じなのか、かえって観たくなりました。(作り手の策略にはまっているのか???)
②ニュージャージーのバンド少年たちのお話
内容ですが。
作品の起承転結が春夏秋冬で構成されていて、とても分かりやす内容になっています。
- 春のナレーション担当はトミー。強引なことしてでものし上がろうとするバンドの牽引者
- 夏のナレーション担当はボブ。ヒット曲を量産してバンドを成功に導く者
- 秋のナレーション担当はニック。バンド結成当初から参加しながらも控えめな性格故あまり目立たないが、バンドの崩壊をいち早く感じていた者
- 冬のナレーション担当はフランキー。バンドのフロントマンでフォーシーズンスを背負って生きる者
この構成だけで、大体ストーリー展開が見えるというシンプルさ。
そして思いました。
バンドが売れると、大金が稼げるようになるけど金銭問題でもめ、成功すると色んな輩が寄ってくるのかドラッグに溺れる者がいて、忙しくて家族との時間が取れないからか家庭は崩壊して・・・と。
「そうか・・・今回もその道は避けて通れないのだな」
と思いました(人間ってどうしても先人と同じ道に進んでしまうのね・・・(涙))。
ただ、彼らは売れない頃から仲間としてやってきたせいか、金銭的にもめたからと言って簡単に縁を切れないというところがあるのは救いでもあります。
トミーが厄介な性格で、もめごとの火種を持ってくるのはいつもトミー。だけど、トミーみたいな、多少強引な人がいなければのし上がっていくのも難しいわけで・・・、それが自分たちでも痛いほど分かってるから見捨てられなくて。
「あいつ、面倒なやつだけどダチだからなあ」
って感じが、エモいかなとも思いました。
またフランキー・ヴァリがどんなに成功しても故郷のニュージャージーを捨てなかったこともうれしいです。
何よりも最後の最後に若かりしフォーシーズンス4人を中心に、みんなでこれはミュージカル映画だぞ!と言わんばかりに楽しく歌って踊って盛り上がって終わったのがよかったです。その時に
「ああ、この作品はニュージャージーという田舎のバンド少年たちの話なんだな」
と感じました。
この作品はクリントイーストウッドが監督してるのですが、劇中彼らがテレビで観ていた映画にイーストウッドが出ていたのがクスッとしました。自分と同時期に活躍してた人たちの映画を撮るってどんな気分なんでしょうねえ?