映画『ダラス・バイヤーズクラブ』情報

2013年 アメリカ映画 117分 原題 Dallas Buyers Club
監督 ジャン=マルク・ヴァレ

マシュー・マコノヒー・・・ロン・ウッドルーフ/ロデオカウボーイ。エイズで余命30日と医者に宣告される
ジェニファー・ガーナー・・・イブ・サックス/ロンの主治医。エイズ治療薬をめぐってロンと対立していたが、最終的にロンの活動を手伝うようになる
ジャレッド・レト・・・レイヨン/エイズ患者。トランスジェンダーで体は男性だが心は女性。ロンのビジネスパートナー

映画『ダラス・バイヤーズクラブ』ネタバレあり感想

①マシュー・マコノヒー

 映画『インターステラー』を観たので、マシュー・マコノヒーつながりで観ました。
マシュー・マコノヒー、イケメンスターのイメージでしたが、演じているロン・ウッドルーフという役がエイズに感染していて、映画の最初に余命30日と言われる役ということもあって、映画の冒頭からずっとガリガリでした。
「体重を落とすことが役作りなのか?」
という議論はよくありますが、やはりここまで落とすとメンタルが変わると思うのです。
役のために47ポンド(約21キロ!)落としたとか。
(レイヨン役のジャレッド・レトも14キロ落としたらしいです)
なんと言っても作品に対しての覚悟が違う気がするのです。本当に素晴らしかったです。

②実話をもとにしたお話

ロンという人物は、酒とドラッグにおぼれ、異常なほど女好きで同性愛者への差別はひどいし、がさつだし、口汚く人をののしるし、ロデオを愛する典型的アメリカンマッチョ(でもガリガリ)で、好き勝手に生きている、本当に嫌なタイプなんですが(実在の人物なのにここまで嫌な感じで描いていいのか?と思うくらい(汗))、
エイズになったと知り、死と直面して覚醒するのです。

最初は本当に嫌なやつだなあと思いました。それこそ観ていて不快なぐらい・・・。
「嫌なやつだな~」
と思いました。
でも、あれだけ女好きなのに、自分がエイズだと分かったら、エイズに感染している女性以外の女性には手を出さない、という気遣いは出来る人です。(それでも女性なしではいられないのね、というところが(笑)どれだけ女好きなんだ)
要するに、自暴自棄になって、だれかれ構わず人に迷惑かけていくタイプではない、ということが分かってきます。(俺がつらいんだから、お前らも苦しめ、というタイプではない!)

エイズに感染してるとわかってからは、【死にたくない】という執念が彼に学習意欲をわかせ、エイズについて調べ、薬も研究し、違法の薬(まだ認可されていない)とはいえ、本当にエイズに効果のある薬を手に入れるために奮闘するようになります。
しかもその得た薬を自分のためだけに使うのでなく、同じエイズで苦しんでいて、色々試してでも生きたいと思っている他のエイズ患者にも、薬が手に入れられるように会社を立ち上げます。

【エイズに打ち勝つ】という目的のために、それまで否定していた人間とも交流を持つようになり、どんどん変化していきます。
そのうち、単なる荒くれ者というイメージから知的な雰囲気にもなってきて、乱暴なふるまいの中にも優しさも出てきて・・・。
「本当はロンという人はすごい能力を持っていたのだな」
と思いました。
変化していくその姿は、感動的ですらありました。これぞまさに覚醒!だなと思いました。

③人間にとっての幸せって何かと考えさせられる

自分の好きなことだけをして楽しく生きるのも幸せの1つですし、山も谷もなく、平和に穏やかに生きる、というのも幸せの1つだと思うのです。何をもって幸せとするかは人それぞれかもしれません。
でも、ロンのエイズに感染してからの生きざまの凄さ。
生への執着が原動力となって、自分の目でみて、学んで、考えて、確かめて、また学んで・・・。本気で大きな山に立ち向かってる人ってすごいな、と思うのです。

最初毛嫌いしていた同性愛者のレイヨンへの変化も感動的でした。

助かることはないという絶望の中で、仲間のレイヨンにあきらめが出てきます。
同じく助かる見込みのない状況のロンも十分つらいはずなのに、そんなレイヨンに
「スナック菓子とか食べるな」
と言います。これは生きることをあきらめるな、ということだと思うんです。まただんだん自暴自棄になっていくレイヨンに
「ビッチのふりはやめろ」
と言うのですが、これは自分を大切にしろ、という、メッセージだと思うんです。
最初同性愛者を毛嫌いしていたロンからは考えられないぐらい、人に対して視野が広くなってるし、優しくなってる(涙)
人生の中で、本当の自分が持っている能力を目覚めさせられる人=覚醒できる人ってどれぐらいいるんだろう?
そう考えると、人間にとっての幸せって何だろう?と考えさせられます。

勝利のない戦ロいの中でそれでもあきらめないで戦い続けるロンが可哀そうでもあり、とても素敵でした。

投稿者

ヤスティ

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