映画『20センチュリー・ウーマン』情報
2016年 アメリカ映画 118分 原題 20th Century Women
監督 マイク・ミルズ
アネット・ベニング・・・ドロシー・フィールズ/キャリアウーマンでシングルマザー。ジェイミーの母親。下宿も営む
グレタ・ガーウィグ・・・アビゲイル・ポーター/カメラマン。子宮頸がんを患っている
エル・ファニング・・・ジュリー・ハムリン/ジェイミーの幼馴染。ジェイミーと毎晩一緒に寝ているが肉体関係なし
ルーカス・ジェイド・ズマン・・・ジェイミー・フィールズ/15歳の高校生。ドロシーの息子。
映画『20センチュリー・ウーマン』ネタバレあり感想
①マイク・ミルズ監督の半自伝的作品
『赤毛のアン』好きの私にとって、ドラマ『アンという名の少女』のギルバート役、ルーカス・ジェイド・ズマン君がご出演ということで、
「これは見なくてはいけませんよ！」
と思い鑑賞。アネットベニングの息子、ジェイミー役でご出演でした。
やはり美しいズマン君！美少年で癒される。
後から知ったのですが、マイク・ミルズ監督の半自伝的作品なんだそうで、ということはズマン君がマイク・ミルズ監督なのですね・・・。
（ずいぶん美少年を配役されましたな！）
と突っ込みたくもなりましたが、眼福ですのでありがとうございます、とも言いたい。
ミルズ監督のお母様をモデルに書かれたシングルマザーのドロシーをアネットベニングが演じられております。
ドロシーは年頃の息子、ジェイミーをどう育てるか悩みます。そこで友人のカメラマンで、下宿人のアビー（グレタガーウィグ）とジェイミーの幼馴染のジュリー（エル・ファニング）に相談して、自分の足りないところを補ってくれるように頼みます。
50代代表、ドロシー。20代代表、アビー、10代代表、ジュリー。
この年齢も考え方も違う三人の女性に色んなアドバイスを受け、時に振り回され、影響を受け、成長していくジェイミー。
という話なのですが、3人の女性の、人生の選択の一歩前の段階、模索時代、でもあるなと感じました。
この映画の後、3人はそれぞれ、一生の伴侶と出会ったり、家族を作ったり、自分の人生を選択していくのですが、その選択に至る布石はこのドロシーの家での共同生活にある、とでも言ったらよいでしょうか。
まさに、人生の貴重な時間を切り取った、という印象を受けました。
いずれにせよ、ずいぶん濃い女性たちに囲まれて育ったな・・・。
思春期にこんな濃厚な女性たちに囲まれて育ったら、人生の見方に幅が出るだろうなあ、映画監督になるのも納得、なんて思っちゃいました。
（もちろん、完全な自伝ではないことはわかっていますが）
②素晴らしいキャスティング
1970年代に毎朝株価情報をチェックするようなキャリアウーマンで、情に厚くて、自由で、でも若者の文化や考えを受け入れられないとこもあって、自分の殻を破ろうとチャレンジしてみるところもある、といった魅力的なお母さん、ドロシーをアネット・ベニングが演じています。
アネット・ベニングというと『アメリカンビューティー』を観たせいか、しっかり作りこんだ美女というイメージがあったので、こんな自然体で生きてる人みたいな役までいろいろできるんだ、すごいなあと思いました。
そしてグレタガーウィグ演じるアビー。
カメラマンで、破天荒で、性にも奔放でハチャメチャな行動で親とも上手くいかず、でも繊細な傷つきやすさもある、という姉御肌のアビー。そんなアビーは、嫌っていた平凡の幸せに気づいていきます。
今や女優業のみならず、すごい映画監督になってしまいましたが、グレタ・ガーウィグの、ハリウッドスターとかモデルさんみたいなスタイルじゃなくて、健康的な、本当に普通にリアルにいる綺麗な人（いい意味です！）という感じが、よりアビーを魅力的にしているな、と思いました。また赤毛がかわいい。
エル・ファニング演じる近所の幼馴染のジュリーは、クラスメイトの子を妊娠したかもと相談してきたり（それでジェイミーが妊娠検査薬を買いに行かされる（汗））、毎晩ジェイミーの布団に潜り込んでくるけど、セックスはさせない、といった、なかなかこじれた女子。
でも、早熟な十代女子にとって、自分を性の対象としてじゃなく大事にしてくれる男子って聖域だよなーなんて思っちゃったりもするので、なんとなく気持ちはわかる気もします。
ジェイミーを育てた三者三様の女性たち。
何よりもこの配役が素晴らしい。まさに見たくなるキャスティングだな、と思いました。
それにしても、20世紀の人は、よくたばこを吸いますねー。
まさか、未来にこんな禁煙が推進される時代が来るだろうとは夢にも思ってないでしょうね（笑）