哲仁王后〜俺がクイーン?!(チョルインワンフ)メモ
タイトル 哲仁王后~俺がクイーン!?
放送国 韓国
ジャンル 時代劇 ロマンス TVドラマ
原作 太子妃 狂想曲〈ラプソディ〉
放送期間 2020年12月12日~2021年2月14日
放送回数 20話
監督 ユン・ソンシク 『バベル 愛と復讐の螺旋』『王の顔』『花郎(ファラン)』
脚本 パク・ケオク 『カインとアベル』(2009年)大病院の血の繋がらない兄弟の葛藤と戦い
『天下無敵イピョンガン』(2009年)高句麗の姫と将軍がゴルフリゾートの
キャディと会長の息子として現代に生まれ変わる
『愛の贈り物』(2012年)知的障害を持つ母とその娘の愛と絆の物語
『ドクタープリズナー』(2019年)復讐のため刑務所の医師になった
天才外科医の頭脳戦
『朝鮮駆魔師』(2021年) ゾンビファンタジーのフュージョン史劇。
歴史歪曲騒動で放送2回で打ち切り
出演者 シン・へソン (キムソヨン/王妃)
キム・ヒョンジュン (イ・ウォンボム(李氏朝鮮第25代哲宗/王)
ぺ・ジョンオク (スンウォン王后/大王王妃)
キム・テウ (キム・ジャグン/官僚)
ナ・イヌ (キム・ビョンイン/ジャグンの養子)
ソル・イナ (チョ・ファジン/哲宗の側室)
チョ大妃 (チョ・ヨニ/第24代王憲宗の母)
哲仁王后ネタばれあり感想
①歴史歪曲論争
起 チャンボンファン(現代の料理人)の魂がキムソヨン(19世紀の朝鮮王妃)の身体に入る
承 チャンボンファンにキムソヨンの記憶が徐々に入り込んでくる←キムソヨン(王妃)との融合?
転 チャンボンファンと王(李氏朝鮮25代王/哲宗)が手を組んで安松キム氏と戦うことを決意
結 哲宗派と安松キム家との最終決戦
全体的な流れはこんな感じだと思うんですが、史劇というよりラブコメ要素が強いです作品です(魂の入れ替わりものですから!)
いや、むしろ歴史を知りたくてこのドラマを観る人はどうかしてるぜ?と思うほどです。
だって19世紀の王妃の身体に現代の男が入って、王と恋愛するお話ですよ?
なので、歴史歪曲論が起こったと聞いた時には『歪曲も何も・・・(汗)』と思いました。
それだけ韓国では歴史の取り扱い注意なのかもしれません。これは国民性の問題なので、なんとも言いようがありませんが、でも!これだけドラマや映画が作られてて、歴史的事実を変えてはいけないと言われたら、クリエイターとしてはさすがに限界が来ちゃう気がするので、意識を変えてみたらいいかもなあと思ったりもします。(余計なことですが)
これだけ海外の方にも見られてて(=外貨も稼ぐ作品があるんですから)、番組冒頭に『この作品はフィクションです』と毎回出るたびに、
「事実であってたまるかい!」
と突っ込みましたが(逆に突っ込みありきでのボケなのか?)、楽しい作品を量産してほしいです。
と思ったら、この作家さんの次の作品(朝鮮駆魔師)が歴史歪曲論で2回で打ち切りとのこと。歴史ものとはいえゾンビものでしょ?歴史歪曲って・・・
難しいものですね(汗)
②ラブコメディ
韓国ドラマのラブコメディ作品でした。
- 水の中から助け出すシーンがある
- 雨の中のシーンがある
- ヒーローとヒロインが街をデートするシーンがある
- 男たちの飲み比べシーンがある
韓ドララブコメあるあるシーンは大体入ってた(笑)
韓ドラを見始めて20年近く経ちますが、これらの定番シーンは必ず入っているという(笑)
時代を超えてもこれらが守られてるのは、よっぽど韓国の方の情緒にあうからなんだろうなあ、と思いつつ楽しく見ました。
③誰と誰の恋愛話なのか?
私が声を大にして言いたいのは、
「これは哲宗とチャンボンファン(現代の料理人)との恋愛作品でしたよね???
なんなら本当にキムソヨン(王妃)を最後まで思ってたのは、ちょっと悪役みたいになってた(確かにちょっとうざかったけど(汗))キムビョンインだったですよね!?」
ということです。
別に男同士の恋愛でもいいんですヨ!。
チャンボンファンの常識にとらわれない大胆さが(まあ現代人と朝鮮国時代の人との違いが大きいですけど)、哲宗の背中をおして、自分を縛るものから解き放たれて敵と戦う勇気を持った、と考えると、ラブコメ好きの私としては、
【チャンボンファンに惹かれたのか?キムソヨンに惹かれたのか?】
というのは大きな問題だと思うんです。
これが、ラブコメ好きな私が、いまいちこのドラマにはまり切れなかった要因かなと思います。
ちなみに私がこのドラマで泣いたシーンは、キムビョンインのお墓の前で、キムソヨンが
『お兄様、また私を見つけてくださった』
といった時です。
「自分を押し殺して生きるしかないという現実に絶望して自殺を図ったキムソヨンにとって、最後まで本当のソヨンを見つめてくれていたキムビョンインという人物は重要ですよね???作家様!」と聞きたい。
なのでチャンボンファンが、キムビョンインに
「本当に好きなら、なんで(魂が)入れ替わった時に気づかなかった?全然違うだろ」
と言ったセリフがあるのですが、ドラマラスト、チャンボンファンでなくなったソヨンに向かって微笑む哲宗に、
「そのセリフ、全く哲宗に言いたいぜ」
と思ってしまいました。
④お似合いカップル
と、文句みたいなことを沢山書いてきましたが、もちろん面白かったです。
その理由はまず、キャスティングがよかったです!
シンへソン/キムソヨン(王妃)
実は初めてへソンちゃんの作品を見ました。見た目かわいい系?と思ってたのですが、かわいいというより、むしろかっこいい。
男っぽい女子って役は結構あると思うんですが、へソンちゃんはちゃんと男を演じてた思う。
(表情とか、しぐさとか、ずっと計算されてた)
演技上手だな~と思いました。
しかもこの役は、チャンボンファン(男)とキムソヨン(女)と、チャンボンファンとキムソヨンの混じった状態を演じ分けなきゃいけないので、この変化も凄く大変だったのでは?
また表情演技だけでなく体を使った表現も上手。
観る前ははかない系の女子っぽいと思ってましたが、そんな考えは一掃されました。
綺麗だし上手だし凄いですよね!出演作をチェックしたい女優さんになりました。
キムジョンヒョン/イ・ウォンボム(哲宗)
キムジョンヒョン氏は『愛の不時着』を見た時に「この人上手い人ね~」と思いましたが、やはり今回も上手かったです。
哲宗は本当の自分の感情を見せないよう生きてきたので、淡々と話すシーンが多いのですが、もちろんここぞという時には有能ぶりを見せます(作品のヒーローですから!)。
コントロールが上手な役者さんなんだな、と思いました。(引き算強め?)
一昔前は、韓ドラというと、かつての大映ドラマのように大きな演技、というイメージでしたが、時代が変わったのかもしれません。
キムソヨン(王妃)が発散系の芝居なので、2人のバランスがとてもよかったなあと思いました。
(だからこそ、本来のキムソヨンに戻ったらこんな関係じゃないんじゃない?と思っちゃったんですけど)
余談ですが、この方の作品はもっと見たいので、変な騒ぎに巻き込まれずに突き進んでほしいです。
⑤ウーマンス(女性版ブロマンス)
最初この作品の作家さんは女性かな?と思いました。
それぐらい各女性たちのキャラが熱かったです。
キムソヨン(王妃)のお付きのチェ尚宮とホンヨンの信頼関係
序盤からずっと絆が強かったですが、ソヨンが宮廷を抜け出して哲宗を探しに行くシーンでも、チェ尚宮とホンヨンも命をかけてソヨンに付いてきます。なんなら山を捜索中は女子3人組のピクニックみたいでほっこりするしました。まさに
「こんな友達欲しいよね〜!」
と思う関係でした。
各尚宮たちの忠誠心の強さ
この作品は悪役の大王大妃や大妃にもそれぞれ尚宮が付いてるのですが、どの尚宮も自分たちの主に対して愛情がありました。
女性の生き方というのが作品テーマの1つなのではないかと思うぐらい、単なる悪役女性、男性の駒に過ぎない女性という描かれ方でなかったのも良かったです。
悪役、大王王妃がかわいい
大王大妃はもちろん悪役で男の悪役顔負けの陰謀を張り巡らせている人なのですが、一方でボンファンのご飯を食べるときがの表情が異常に可愛く、そのせいかかなり曲者なのにかわいくみえます。
演じてらっしゃるぺジョンオクさん、食べ物のCM増えたんじゃないかな?と思うぐらいかわいかったです(笑)
王と結婚してから宮廷から一度も出たことがなく、安松キム一族の安泰のために生きてきた大王王妃。その生き方をソヨンにも要求し、それが結果ソヨンを自殺へ追い込む一因ともなるわけですが、何の疑問もなく自由を奪われてきた彼女も、宮廷の被害者なのかもしれません。
王妃も曲者だけど憎めない
王妃は超厄介な姑と、めちゃくちゃ生意気な嫁の間に挟まれた大変な位置にいます(笑)
2人のキャラがあまりに濃いので影が薄くなりがちですが、空気を読む能力の高さと、屈辱的な状況になっても忍耐力の強さで乗り越えてきたある意味最強のバランサーです。
大妃は占いにハマっていますが、安松キム家との戦いに敗れて息子を毒殺され、自分も殺されるかもしれない不安定な状況にいます。不安な心を抑えるために占いに頼ってしまうのは現代女性と共通しているかもしれません。
宮廷で生きるためには毒されていくしかない
陰謀に陰謀を
不安から逃れるためにさらに不安定な状況を自ら生み出していっている、まさに負のループですが、大妃もまた宮廷に人生を振り回されている被害者と言えます。
恋のライバル、ファジン
ソヨンの恋のライバル、ファジンは、死ぬんだろうなーと思ってました。
宮廷に毒されてどんどん闇落ちしていくファジン。
ええ、それはもうダース・ベーダーのように(涙)
しかし!まさか、途中から奇跡の大復活!
自分の愚かさに気づき、自分から廃妃にしてもらい、人々から白い目で見られようとも心の自由を取り戻し自分らしく生きることを選んだファジン。
なんなら絶望して自殺しようとしたソヨンよりかっこいい女性でした。
私は常々、主人公の恋のライバルには素敵な女性であってほしいと思ってたのでこれは本当に良かったです。
そもそもヒロインの幼き頃からのライバルでもあるので、ヒロインのライバルは素敵な人であってほしいです。
(じゃないとヒロインはこんな小者と戦ってたんかい?となってしまうので)
いずれにせよ韓国ドラマは一度闇落ちした人間に容赦ないイメージがあったので(汗)、ファジン再生、良かったです!
年長の女性たちが宮廷で生き残るために毒されていき(だからこそ生き残れたのだけど)それによって本来の自分自身を失っていったのに対して、若い女性たちが権威のある場所を自ら捨てて自分らしく生きられる場所を選ぶ、というのは、まさに現代の女性たちへ自分らしくあれというメッセージかなと思いました。
⑥男黒幕がダサい
この作品の黒幕はキムジャグン、大王大妃の弟でキムビョンインの養父なんですが、私は、この方が実際は権力を握っていて、大王大妃も操ってるんだと思ったんですが、最後まで大王大妃の方が強かったのが意外でした。
なんなら土壇場で大王王妃を裏切るんじゃないか?というほど疑ってました。
キムジャグン。この方が、意外にダサかったし小さい奴でした(笑)
この方も安松キム家の安泰のために権力を握り続けてるんだと思ったんです。
一家を背負わされた、古き家制度から抜け出せなかったかわいそうな人なのかなーと。
でも、大王大妃がキムビョンインにも力を与え始めると変な嫉妬をして、息子を追い落とそうとするて・・・。
ダサくないすか???
男の嫉妬は女性よりひどいという話はよく聞きますが「お前の後を継ぐものだろ?」と声を大にして言いたい。
他の女性たちが、陰険ながらも割とからっとしてるので、
「ずーっとジメジメして!」
と言いたくなりました。
(作品全体として、女性の方が動で男性の方が静の傾向がありましたね)
⑦生きること=死なないこと、じゃない
最終決戦後、哲宗はこのキムジャグンを殺さずに、ただ殺さないで生かしているだけの状態にする、という処罰を下します。自分自身を押し殺して生きるということがどれだけ辛いことか、ということを身をもって理解させるということでした。
王を傀儡として自分の言いなりにし、王妃は安松キム家のためにただ子供を産む道具として扱い、人の意思、人間性を奪い、自分の駒としてのみ扱ってきたキムジャグン。
自分らしく生きる、これがこの作品のテーマだったのかな?と思いました。
まとめ
楽しいラブコメディ作品でしたが、史劇という形をとりながらも現代の生き方へのメッセージが強い作品だったと思いました。
ですが、とても、男女入れ替わりものでもあり、タイムスリップものでもありと、とてもコメディ色の強い作品なので史劇が苦手な方でも何も考えずに見て、十分楽しめる作品です。
何より、男の魂が入った王妃の言動が痛快でスカッとします!
お時間がある方はぜひチェックしてみてください!