映画『俺たちに明日はない」情報
1967年 アメリカ映画 112分 Bonnie and Clyde
監督 / アーサー・ペン
クライド・バロウ / ウォーレン・べイティ 刑務所を出たばかりのならず者
ボニー・パーカー / フェイ・ダナウェイ テキサスの田舎町のウェイトレス
バック・バロウ / ジーン・ハックマン クライドの兄
ブランチ・バロウ / エステル・パーソンズ バックの妻・牧師の娘
C・W・モス / マイケル・J ・ポラード 頭の鈍いガソリンステーションの店員
映画『俺たちに明日はない』ネタバレあり感想
①フェイダナウェイの女王感
この作品のヒロインはボニーなんですが、
フェイ・ダナウェイ、はまり役だなあと思いました。
ボニー。
窓の外見たら、車を盗んでる男がいて、それが自分の好みのタイプだったから
声かけてついていくボニー。
しかもその男が女を抱けない男だと知ったら逆ぎれするボニー。
言い方悪いですが、尻軽女と呼ばれるタイプです。
（でも、そんなこと女性にいう男は許さん（怒）！）
ですが！！！
フェイダナウェイ。
そこはさすがスター！！！お品がおありになる。
言葉にはしてませんが、「誰でもいいわけじゃないんだよっ！」と
思っているに違いないと思わせる何かが・・・。
というわけで、ボニーは間違っても単なる尻軽ではありません。
姉御肌のかっこいいヒロインです。
②演技派ウォーレン・ベイティ
ウォーレン・ベイティ演じるクライド。まあイケメン。
最初は単なる、にやけたやさ男かと思いました・・・。
そして実際、序盤はフェイ・ダナウェイの方がスター感（女王感？）
あるなあと思いましたが、途中から
「この方（ウォーレン・ベイティ）はビジュアルが素晴らしいから
スターさんのイメージだったけど、演技派の役者さんなんだな」
と思いました。
（もちろん、フェイ・ダナウェイも素晴らしい女優さんですけど）
クライドの兄を演じるジーン・ハックマンが撃たれた後、
運転して逃げるシーンの危機迫る感じとか。最初のチャラチャラした
にやついたやさ男のクライドがだんだん切羽詰まっていく変化とか。
素晴らしいなあと思いました。
③クラウド兄嫁さん役の方、すごい
素晴らしい役者さんたちの中で、兄嫁さん、ブランチ役の方
エステル・パーソンズという役者さんは
「ちょっと凄いな」と思いました。
最初に警察に踏み込まれて逃げるシーンの叫びなんて、
コントだろうか？
と思うほどの叫びで、緊迫感あるシーンなのに逆に笑ってしまうほど。
でも、その空気の読めなさが、この兄嫁さんを表現してると思うのです。
牧師の娘で生真面目で機転が利かない、順応性がない。
強盗団なんか入れられちゃって困るわー！と騒ぐくせに、
強盗で得たお金への執着のすさまじさ・・・。
そんな厄介な兄嫁にイライラしてキレまくるボニー（笑）。
強盗団の話なのにファミリードラマのやり取りみたいな面白さがありました。
結果的にこの兄嫁さんがこの作品のキーパーソンにもなるのですが、
すごいインパクトでした。
調べたらこの役でアカデミー賞受賞されたとのこと。
納得でした。
④単なる犯罪映画じゃない
ずっとシリアスみたいな作品というのもいいですが、
一つの状況にいろんな感情、思惑があって、
それがかみ合わなくて、だからこそ、そのずれが面白い。
悲劇と喜劇って紙一重だよなと、感じさせてくれるところが
面白い作品だな、と思いました。
もちろん実際に存在した強盗、ボニー＆クライドのことを映画なので、
犯罪映画なのですが。
色んな要素が含まれていて、人間ドラマだなとも感じました。
例えば、クライドは凄いオシャレさんで、一見どう見ても
女好きっぽいのですが、女性と出来ない設定・・・。
別にゲイというわけではなく、不能のためなのですが。
（ウォーレンベイティみたいな色男が不能だったという設定も
何か笑える）
ですが、二人は死ぬ前夜、警察に相当追い込まれた状況で、やっと結ばれます。
やはり、追い込まれると種族維持本能というのが働くのかわかりませんが。
その場のノリで強盗をして、運悪く人を殺しちゃって、意図せず
大強盗団みたいになっていってしまって、引き返せないところまで
行ってしまって・・・。
もしクラウドとボニーがすぐ出来てたら、こんな風にはならなかったの
だろうか？色々想像してしまいます。
そう考えると、困った二人のこじれたラブストーリーみたいです。
しかし、なんといってもお気に入りはラストでした。
２人ともパッと殺されて、パッと終わる、余計な説明なし！
かっこいい！最高の犯罪映画でした。
個人的ツボのシーン
強盗団の中にモスという若者がいるのですが、モスの父親がボニーとクライドと
縁を切るようにモスを説得する真剣なシーンがあります。その時、モスのお父さん。
かわいいエプロン姿でした♪
こういうギャップ、ほんとに素晴らしいと思いました。